1.日時
平成30年12月13日(木)13:29~15:33
2.場所
環境省 第一会議室
3.出席者
(委員長) |
大塚 直 |
||
---|---|---|---|
(臨時委員) |
大迫 政浩 |
島 正之 |
勢一 智子 |
武林 亨 |
谷口 靖彦 |
山神 真紀子 |
|
(専門委員) |
浅見 琢也 |
出野 政雄 |
笠井 賢一 |
神山 宣彦 |
小坂 浩 |
高澤 彰裕 |
|
外山 尚紀 |
中村 弘造 |
廣田 善夫 |
|
本橋 健司 |
渡辺ゆかり |
||
(環境省) |
田中水・大気環境局長 |
||
庄子総務課長 | |||
高澤大気環境課長 | |||
青竹大気環境課課長補佐 |
4.議題
- 1)
- 大気汚染防止法関係者からのヒアリング
- ((公社)全国解体工事業団体連合会、(一社)日本繊維状物質研究協会、山形県、熊本市)
- 2)
- その他
5.配付資料
- 資料1
- 中央環境審議会環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会委員名簿
- 資料2
- (公社)全国解体工事業団体連合会提出資料
- 資料3
- (一社)日本繊維状物質研究協会提出資料
- 資料4
- 山形県提出資料
- 資料5
- 熊本市提出資料
- 参考資料1
- 石綿飛散防止に関する法令(抜粋)
- 参考資料2
- 石綿飛散防止の現状と課題について(第1回石綿飛散防止小委員会資料)
- 参考資料3
- 石綿飛散防止小委員会第2回議事録
6.議事
【高澤大気環境課長】 それでは、定刻少し前でございますけれども、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会第3回石綿飛散防止小委員会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席いただき、誠にありがとうございます。私は本日の司会を務めさせていただきます大気環境課長の高澤でございます。よろしくお願いいたします。
本日の会議は小委員会の運営方針に基づき、公開とさせていただいております。
本日の委員の出席状況でございますけれども、現在、委員19名中17名の委員にご出席をいただいておりまして、定足数に達しているとのご報告をさせていただきます。なお、武林委員より、少々遅れるとのご連絡をいただいております。また、本日は高岡委員がご欠席でございます。
まず、議事に先立ちまして、水・大気環境局長の田中より一言ご挨拶を申し上げます。
【田中水・大気環境局長】 水・大気環境局長の田中でございます。委員の皆様方におかれましては、年末の大変ご多忙の中、ご出席を賜りまして厚く御礼を申し上げます。
さて、本日の小委員会ですけれども、前回に引き続きまして、関係者からのヒアリング、2回目ということで実施させていただきます。今回ですけれども、公益社団法人全国解体工事業団体連合会、それから一般社団法人日本繊維状物質研究協会、それから自治体として山形県と熊本市からもお越しいただいております。改めて御礼を申し上げたいと思います。
今回のヒアリングも踏まえまして、さまざまな課題がより精緻に整理されて、委員の皆様の間でも共有されていくということを期待しております。引き続き活発なご議論をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【高澤大気環境課長】 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第に配付資料の一覧を記載しております。本日は、資料1から資料5ということで、参考資料は1から3ということでございます。議事次第と座席表につきましては紙での配付をさせていただいておりますが、そのほかの資料につきましてはタブレットを使用して閲覧いただきます。なお、タブレットの不調や資料データの不足、操作上の不都合等がございましたら、お近くの事務局の者までお申しつけくださいますようお願いいたします。
傍聴の皆様におかれましても、前日までに環境省ホームページに掲載いたしました資料について、お持ちのノートパソコン、タブレット等の端末に保存し、ご覧いただくなど、ペーパーレス化へのご協力をお願いしているところでございます。そのため、既にホームページに掲載済みの資料につきましては配付せず、議事次第と座席表のみの配付とさせていただいております。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
また傍聴の皆様におかれましては、会議の妨げとならないよう、ご静粛にお願いいたします。遵守されない場合にはご退場いただくことがありますので、ご留意願います。
委員の皆様方におかれましては、飲み物につきまして、前回の小委員会でご連絡をさせていただいたとおり、ワンウェイプラスチックの使用削減に係る環境省の取組みの一環といたしまして、水筒などのマイボトルのご利用をお願いしているところでございます。なお、セルフサービスとはなりますけれども、会場の2カ所にお水をご用意しておりますので、自由にご利用いただければと思います。ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
報道関係者の方におかれましては、恐縮ですが、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、これ以降のカメラ撮りはご遠慮いただきますよう、ご協力をお願いいたします。
それでは、これ以降の会議の進行につきましては、大塚委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【大塚委員長】 よろしくお願いいたします。それでは議題に入ります。
まず議事(1)でございます。大気汚染防止法関係者からのヒアリングについてでございます。本日お越しいただきました4団体の皆様につきましては、どうぞよろしくお願いいたします。
公益社団法人全国解体工事業団体連合会、一般社団法人日本繊維状物質研究協会におかれましては、それぞれ15分程度ご説明いただきまして、その後に質疑応答の時間を15分弱設けます。山形県、熊本市につきましては、両自治体に共通の質問が出てくると思いますので、それぞれ15分ずつ続けてご説明をいただき、質疑応答はまとめて25分程度設けたいと思います。限られた時間内で、できるだけ有意義な質疑ができるようにしたいと思いますので、ぜひご協力をお願いいたします。
ではまず始めに、公益社団法人全国解体工事業団体連合会の出野様からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【公益社団法人全国解体工事業団体連合会 出野専務理事】 皆さん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました、解体業連合会の出野と申します。本日はこのような機会を設けていただきまして、ありがとうございます。感謝申し上げたいと思います。何せ浅学非才の身でございますので、途中で間違えたことを言うかもしれませんけれども、そのときには厳しくご指摘をいただければ幸いでございます。
それではお手元にあります資料に従いまして、お話をさせていただきたいと思います。
座らせていただきます。
ヒアリング資料ということなんですけれども、表紙に、一番下にちょっと注意書きを書いておきましたけれども、一応私の個人的な独断と偏見に満ちた意見ではなくて、一応、連合会として公式な見解ということでご理解をいただきたいというふうに思います。
とりあえず、時間があまりないんですけれども、私も団体、せっかくの機会でございますので、少し紹介をさせていただきたいと思います。
正式名称は、公益社団法人全国解体工事業団体連合会、略称全解工連と言っております。建設業団体、大体109から110ぐらいありますけれども、その中で公益社団を名乗っているのは4団体だけと、生意気にも我々も公益社団を名乗っていると。理由は、自分で手がけて優良団体であるという宣言をしたということでございます。
余談になりますけれども、廃棄器物処理法では優良業者認定制度というものがあります。廃棄物処理業界は10万社の会社がありますけれども、その中で優良認定を受けた会社が今たしか1,000社はなかっただろうと思いますけれども、ということは、ほとんどの会社が優良でない会社というのが環境省のお墨つきということだと思うんですけれども、ちょっと余計なことを言いましたけれども、そういうことがありまして、廃棄物処理業界、あるいは解体業業界、世間的にはあまりいいイメージは持たれていないと、こういう状況がありますので、我々、あえて運営は厳しく、自分の首を絞めているような状況ですけれども、公益社団を名乗らせていただいていると、こういう状況です。
会員数は41団体、47分の41、あと6県ほど抜けていると。ほとんどが瀬戸内海沿岸地域でございます。ご想像がつくかと思います。
代表者は山形県の会長でございます。
組織率が、これが問題なんですけれども、分母が定かじゃないというので、はっきりした組織率はわかりません。分母が、例えば解体工事業許可業者だけということであれば、現在3万社、来年の5月31日までに許可を取れと、今、経過措置期間中です。最終的には4万社ぐらいにはなるかと思いますけれども、それをもとにしますと、我々1,600社ですから、組織率としては非常に小さいという状況です。ただ、この4万社が全部解体工事を営業しているかということですと、相当疑問があると。おそらくないと。ある資料によりますと、4万社のうち解体工事の専業者というのは1%から2%であるという情報もあるくらいです。ということで組織率はほとんど当てにならないと、こういう業界でございます。
⑤番目の目的はここに書いてあるとおりです。
⑥番目の主な事業としましては、資格制度、あるいは講習会等をいろいろやっております。そこにありますように、2,500人とか1,100人とか、こういう1,000人規模の講習会を全国でやっております。
(参考)がありますように、その中で石綿則、大防法、廃掃法、もろもろ科目を盛り込みまして講義をしております。ただ、解体工事は非常に範囲が広いものですから、ここの辺りに関する時間はおそらく5分、10分というので、非常に短いんですけれども、とりあえずは全国でこういう講習会、あるいは資格制度をやっているということをご承知おきいただきたいと思います。
あと⑦番目は主な課題ということなんですけれども、イ、ロ、ハ、ニと四つ挙げておきました。イが解体工事業の明確化と。ということは、現在不明確であると、こういう状況です。さっき言いましたように専業者の割合もわからないと。しかも解体工事の許可業者がおそらく4万社ぐらいになるであろうと。ところがこの解体工事というのは、解体工事の許可がなくても営業できます、現状。今までもできましたし、今後もできますと。そういう例外が、例えば建築工事業と土木工事業、総合的な企画指導調整が必要な、そういう程度の高い解体工事は普通の解体業者にはやらせないと。建築業者、建築一式工事ですね、それから土木一式工事、そういう業者にやらせると、こういうことになっております。過去も現在もそうですね。それから、他の専門工事業、これは26業種あります。解体を入れますと27業種になりましたけれども、26業種の専門工事については、それぞれ自分の専門の解体工事は無許可でやってよろしいと。例えば管工事業であれば、管工事の配管の解体は自由にやってよろしいと。電気工事業であれば電気設備の解体は自由にやってよいと、こういうことになっております。
それからもう一つが、解体工事業の登録制度というのがあります。500万未満の工事については建設業の許可が要らないと、昔も今も今後もそうです。それで500万未満の工事、解体工事はごまんとあります。これは無許可で営業ができると。誰がやっているかわからんと。ということであったんですけれども、これはまずいというので、とりあえず登録制度というのができました。許可よりもかなりハードルが低いです。この登録業者が大体1万1,000社ぐらいいますかね。というので、数をちょっと確認しますと、解体工事の許可業者は今4万社弱、それから建築工事業で15万社、土木工事業で13万社、それから解体工事の登録業者が1万1,000社ぐらい、その他の専門工事業は見当がつかないぐらい多いと。要するに建設業界全体で解体をやっていると、こういうご認識でよろしいかと思います。もちろん核になるのは解体工事業、この許可業者だと思いますけれども、そういうことで、解体工事業というのは非常に不明瞭と。母屋が3階建て、別棟があると、こういう業界だということをご認識いただきたいと思います。
ですから、解体業者に指導をすると、法律の周知徹底をするというときには、相当照準を定めてやらないと、闇夜の鉄砲と、的外れな指導になってしまうということを、ぜひご認識いただきたいと思います。
あと、ロ、解体工事に関する国家資格は現在ありません。土木施工管理士、建築施工管理士、こういうものはありますけれども、解体工事施工管理士という国家資格はありません。ほとんどノー資格で今までやってきたと。唯一我々は民間資格ということで、⑥のイにありますように、解体工事施工技士試験というものを独自でやってきましたけれども、これはあくまでも民間資格と、こういう位置づけでございます。
それからハが、下のほうに戻りますけれども、組織率が非常に低いというので、もう少し上げましょうと、こういう課題ですね。
その他ということで、施工管理能力、解体業者は元請で仕事をとりたいと、常々そう申すのですけれども、なかなか施工管理能力が追いつかないと、おまえらには任せられないと、こういう風潮があると。それを何とか打開したいと、こういう課題です。
あと、分離発注ですね。大体新築・解体、一括発注、これはこれまでの慣例です。途中ようやく分離発注、新築と解体を分けて発注するという流れができつつあったんですけれども、現在また元に戻りつつあると。これは我々が悪いんですけれども、実は。解体工事業という専門工事業をつくったものですから、専門工事業者には、専門工事業者はもともと下請なんだから元請をやる資格はないなんて、そういうことを言われまして、結局元に戻ってしまったと。我々の作戦の失敗だったと、こういうことなんですけれども。
あとはご多分に漏れず人材確保、あるいは社会貢献ですね。この社会貢献は少し自負があります。大規模災害、震災、水害が起きますけれども、解体業界は非常に活躍していると自負しております。人命救助から復興、復旧作業まで、全て頑張っております。これはぜひご認識いただきたいと思いますけれども。
以上が前置きです。
あと、ここから先は環境省にもともと質問をいただきまして、その質問に従って回答を申し上げると、そういう形で説明させていただきたいと思います。
まず(1)番が、解体工事工程における特定建築材料の除去の基本工程はどうなっているのかと、こういう質問をいただきました。それに対する回答でございます。
左の①から⑤まで並んでおりますけれども、これは建設リサイクル法の施行規則ですね、この中にこういう手順でやれという省令がございます。これが基本です。これにいろいろ大防法、安衛則、石綿則ですね、いろいろこれを組み合わせてこの中に入れて、マッチングをさせて作業をやっていると、そういうふうにご理解をいただきたいと思います。
まず①番目が事前調査、建リ法でも事前調査をやれというふうになっております。石綿則でもなっております。もちろん大防法にもあります。解体業者としては、今日は建リ法の事前調査、明日は大防法の事前調査、明後日は石綿則の事前調査、そんなことはやっていられません、はっきり言いまして。だからみんな一括してやると、これが普通です。そういうふうにご認識いただきたいと思います。
①番の事前調査については、石綿含有建材の有無、あるかないかの調査ですね、これは石綿則等に従いまして、書面、目視調査、これが基本で、わからなかった場合には分析をすると、こういうことになっておりますけれども、我々としてはこれは逆だろうと言っています。原則は全て分析しなさいと。これこれこういうものは適用除外で分析する必要はないと、こういう法律にしなきゃ意味がないというのが我々業界の意見です。ちょっと余分ですけれども。
②番は、分別解体・再資源化等の計画。建リ法ですからこういう文言になります。これに合わせますと、石綿含有建材の除去作業計画の策定と、作業計画をつくると。安衛法ですと、これは計画届、それからもう一つは作業届と、2種類に分かれますけれども、大防法の場合には1種類ですね。具体的には発注者への説明、納得していただければ契約をする。それができたら届出をすると。この届出も、建リ法、安衛法、石綿則、大防法、これを一括してやると、ほとんど内容は似ていますので、一説によるとコピーをしてタイトルだけ変えると、こういう冗談が出るくらいよく似ています。もちろん違うんですけれども、そういう問題もあるということですね。あとは掲示、これも石綿則、大防法であります。これもほとんど似ています。だから掲示板は大体これは一緒です。大防法の掲示板、石綿則の掲示板、分けて掲示をするというのはむしろ少ないぐらいですね。一緒に掲示をするというのが一般的です。
それから③番は事前措置ですね。これは建リ法の話ですけれども。特定建設資材をリサイクルする前に、事前措置、有害物質がくっついている場合にはそれを除去しなさいと、こういう規定があります。その有害物の一つが石綿含有建材というので、これがあれば事前に措置をする、すなわち除去作業をやると、こういうことになっております。それで作業基準を守って、大防法のですね、それから後は廃棄物処理法の廃棄物の処理、特管物か一般の産業廃棄物か、きちんと区分をして処理をすると、こういうことになっております。
それから④番で、解体施工する、そのときに、石綿含有建材がまた見つかるという場合も往々にしてございます。たくさんあると聞いております。その場合にはもう一回①番に戻ってきちんとやると、こういうのが教科書として講習会等では説明しておりますけれども、そういうパターンもあります。
⑤番、最後に再資源化等の完了報告、これは特定建設資材4品目の完了報告です。石綿とは関係ありません。というので、ここに、石綿含有建材の除去完了報告、これを今から法制化するかどうかと、こういう問題が出てくるのだと思いますけれども、そういう状況です。
2枚目に行きますけれども、特定建築材料除去についての発注者・元請負業者の認識・対応の現状はどうなっているのかと、こういう質問をいただきました。それに対する回答でございます。
①番、発注者、特に元請業者ですね、からの設計図書等の提供があるかという質問なんですけれども、大体半分くらい、50%ぐらいは提供があるという回答を得ております。ただ、管理がよくない建築物、要するに所有者が転々と変わると、そういう建物については、設計図書等が保存されていないと、こういう現場も結構多いと。もちろん解体ですから、30年、40年、下手すると50年、60年たっていますので、残っていない現場も多いと。それから、設計図書等の保存・提供があっても、特定建築材料の種類あるいは使用箇所まで詳細に説明した書類というのはあまりないと。下手をすると、何々と同等の建材を使用しなさいなんていう設計図書も結構あると。具体的に何を使ったかよくわからないと、こういう現場も結構多いと聞いております。というので、設計図書等と実施工と、相当齟齬、食い違いがあることも少なくないというふうに聞いております。
②発注者の特定建築材料除去の工程及び費用、これが理解が進んでいるかという話なんですけれども、理解・協力はかなり向上してきたと。ざっくりした表現ですけれども、昔よりはよくなったと。ただ、いまだに経済性ファーストと、安ければいいと、高い業者には頼まないと、これは依然としてあると。市場原理に任せれば当然だと思いますけれども、特に石綿含有吹付け仕上げ材については、理解・協力が得られない、まだまだ。つい五、六年までは全く無視してやっていたわけですから。つい最近になって騒ぎ出して、これをきちんとやると解体工事費の2倍ぐらい金がかかると、そんなことはやっていられないと。そういう問題があるということをご認識いただきたいと思います。
その次のページが③番ですね、発注者に対する事前調査結果の説明・記録と。事前調査を実施すれば、そこまでやれば、もちろんその結果を説明あるいは記録をするということは必然的に行っているということですね。
それから2番目が……。あと1分しかないそうです。すみません。解体業者のほとんどは、事前調査を実施しております。
少し飛ばしたいと思いますけれども、あと、説明を受けた発注者が、予算不足で、もう解体工事をやめたと、あるいはもうしばらくやらない、あと何十年もやらないと、そういうケースも結構あるということですね。
それから④番が発注者による届出。これは結構問題があるんですけれども、大防法は、発注者が届出をしなさい、そういうことになっておりますけれども、発注者はいかんせん素人ですから、結局は施工者側がやると、そういうパターンが多いと聞いております。ただ、委任とか代理、これはもちろん法律違反ですからできませんけれども、発注者の名前を使って、使い走りで書類を届けると、こういう作業をやっているということです。
それから、⑤番が発注者への除去完了報告。これは事前調査をしてそれを契約書に盛り込めば、当然報告もするんですけれども、そうじゃない場合にはもちろんしないし、やったとしても、発注者は解体した後、あまり興味はありません。もう心は新築のほうに走っていますので。そういうことで、報告は形式的になりやすいと、ふんふんと聞くだけで終わってしまうと、そういうことになっております。
それから次のページですけれども、レベル1、2、3で、事前調査の実施者は誰がやっているのかと、あるいは除去作業は誰がやっているのかと、あるいは確認は誰がやっているのかと、こういう質問がありましたので、ちょっと一覧表にまとめておきました。レベル1、2が大防法の範疇ですね。レベル3はこれから検討しようというところなんですけれども、ご覧いただいたとおりです。こういう資格者がいればいいほうです。事前調査の資格者制度というのはありませんから、ざっくり言うといいかげんな事前調査をやっているんじゃないかということについては、一概に否定はできないと、こういう現状かと思います。
それからあと(4)番ですけれども、特定建築材料除去についての下請負業者に対する情報伝達、教育・指導と。ということで、①番、情報伝達。もちろんあればやると。故意に隠すと、そういうことはありません。それから②番、自分の会社、あるいは協力会社については責任を持って指導しております。でも外部に委託をすると、専門業者に委託をすると、そういう場合にはほとんど関知しておりませんと、こういうことです。
(5)番です。完了確認を行政等の第三者が行う場合の問題点等。①、②、③、④、⑤と挙げておきました。我々が考えるに、こういう問題があるであろうというのを列挙させていただきました。
次が(6)番です。レベル3、現在、大防法の対象になっていないと。これをレベル1・2と同じような規制にかけるとしたらどういう問題が発生するかと。発注者と施工者、行政、特に我々としては施工者について、どういう問題点が発生するかと。ということで黒ポツで三つぐらい挙げておきました。
その中でも特に重要といいますか、問題が大きいかもしれないのは、寝ている子を起こすといいますか、周辺住民への過剰反応、レベル3は解体現場がほとんどと言っていいくらいあると。ほとんどの解体現場は危ないと。こういうことが世間的に広がったら、これは仕事ができなくなるんじゃないかと、こういう懸念があるということでございます。
最後に、解体工事業界のスタンスということで、解体業界としては、我々は真面目な業者の団体でございますので、優良団体とは言いませんけれども、規制強化には別に反対しません。ただし、費用的にはきちんとしわ寄せが来ないように、措置をよろしくお願いしたいと。費用と工期を含めてちゃんと与えていただければ、我々は法律をきちんと守って、遵守をして施工いたしますと、こういう意見でまとめさせていただきたいと思います。
すみません、ちょっと時間が過ぎました。以上でございます。
【大塚委員長】 出野さん、ありがとうございました。ではただいまのご説明につきましてご質問がある方は、全員名札を立てていただきたいと思います。最初に立てていただかないとご質問いただけなくなる可能性が高いので、ご質問なさる方はどうぞ名札を立てていただければと思います。
じゃあ谷口委員、お願いします。
名札、もうよろしいですか、これで。誰も立ってないですかね、ああ、そちらで立っています。
じゃあ谷口委員、お願いします。
【谷口臨時委員】 すみません、4ページの②のところですけれども、発注者の理解とか協力はかなり向上してきたとはいうものの、特に三つ目の矢印のところですが、やっぱり協力が得られにくいというケースがあるということで、実際に得られにくいというか、得られなかったときに、どのような対応になっちゃうのかというのを、わかる範囲で教えていただければと思います。
【公益社団法人全国解体工事業団体連合会 出野専務理事】 結構難しい質問かと思いますけれども、一応市場経済ですから……。
【大塚委員長】 すみません、ちょっと質問を全部まとめます。
じゃあ中村委員、お願いします。ごめんなさい、出野さん、すみません。
【中村専門委員】 最後のところで、規制に対応した適切な費用さえ確保できればというところがあるんですけど、この業者さん、発注者側の負担増加が大変だというのがあるのでしょうけど、例えば公費だとかそういうものも必要だというようなお考えにあるのか、そのものがなくても、発注者の理解が得られれば十分この辺は解決できるとお考えなのか、ちょっと教えていただければと。
【大塚委員長】 はい、ありがとうございます。
外山委員、お願いします。
【外山専門委員】 二つ半くらいありますが、一つには、全解工連さんの会員はやはり解体業ということなのか。つまり、石綿の除去業者さんというのは入っているのかということと、どのぐらいの数の方がいらっしゃるのかというところですね。
それともう一つは、3ページ目のところで、④ですね。工事の途中で石綿含有建材が見つかってしまったというケースは結構やはり問題になってくると思いますが、私の理解だと、もうそうなると発注もしているし、金額も決まっているし、今さら変更できないというので、届出等をせずに、不適切な除去工事が行われてしまうという例が多くあるように思います。そういったようなことが起こるようなバイアスというか、どんな実態なのかという辺りをぜひお話しいただきたいのと、あとは、9ページ目、最後ですけれども、(2)施工者のところで、住民の過剰反応への対応が増加ということで、確かにこれはそうかと思うんですけれども、やっぱり私たち現場をいろいろ、レベル3の解体現場を調査していますが、やはり解体している作業者の方がばく露してしまうというところはかなり重要な問題ではないかと思っています。ここはその点、どのようなお考えなのかというところをお聞きしたいと思います。
以上です。
【大塚委員長】 よろしいでしょうか。では出野委員、お願いします。
【公益社団法人全国解体工事業団体連合会 出野専務理事】 あまり頭がよくないので何が質問があったかよく覚えていませんけれども、覚えている範囲でお答えしたいと思います。
まず1ページ目から順番に行きますけれども、全解工連に石綿除去業者が入っているのかと、こういう質問でしたけれども、後ろのほうの表にありましたように、レベル1・2につきましては、ほとんど専門業者がやっております。一般の解体業者はやらないと。特にレベル1については専門の、吹付け石綿除去専門の業者がおります。こういう業者に下請に出すと、外注をすると、これが一般的です。レベル2半ぐらいですね、自分でやるという解体業者もいます。量が多いとかそういう場合には外注にすると、そういう形もありますけれども。
レベル3につきましては、ほとんどの解体業者が自分でやっております。要するに、言い方は悪いのですけれども、法律の規制はあまりないと。甘いとは言いませんけど、あまりないというので、自分でやっても十分できると、こういう感覚だと思いますけれども、そういう状況になっております。
ということで、我々のメンバーには、石綿専門、特にレベル1を専門に扱うと、こういう業者はほとんどいません、入っておりません。これはもう別団体といったほうがいいかと思います。よろしいでしょうか。
3ページに、手順で③、施工の途中で石綿含有建材が発覚した場合にはどうなるのかと、どうしているのかと、こういう質問だったかと思いますけれども、もちろん発注者、あるいは下請であれば元請に、こういうものが出てきたのでもう一回初めからやり直さなきゃいかんと、ついては金がかかると、工期が延びると、もちろんこういう要求は出します、当然ですよね。これが聞いてもらえるかどうかという話になるのでしょうけれども、一般的には聞いてもらえるというパターンが増えてきたというふうには聞いております。ただ、黙ってやれと、適当にやれという業者も皆無ではないぐらいのレベルだと、そういうふうに聞いております。ですから、今のところは、ちょっとした発注者であれば、特に公共工事等であれば、きちんと見てもらえると。民間工事については相当説得しないと難しい場面もあるというふうに聞いております。
続きまして、4ページ目の②、一番下に、石綿含有吹付け仕上げ材については理解・協力が得られにくいと、そういう場合にはどうするのかと、こういうご質問だったかと思いますけれども、これはあくまでも説得をするしかないと。これを適当にやるとあなたが摘発されますよと、おどしをかけてやってもらうしかないと。どうしても適当にやれということでしたら、我々は請負をしませんと、それが理想だと思うんですけれども、なかなか難しいとは思います。
ただ、この仕上げ材については、さっき申し上げましたように、五、六年、少なくとも10年前はほとんど問題なかったんですよね。みんなコンクリートと一緒に解体していました。つい最近の話です。ですから、これは非常に地域差があります。例えば、東京・大阪ですと、結構発注者のほうも理解していて、そうだよなとなりますけれども、東北地方あるいは九州地方に行きますとそこまで行っていません。特にこの間も九州地方の業者に聞いたのですけれども、最近東京では仕上げ材の問題が何か大きな問題になっているそうだけれども、あれはどうなっているんだという話を聞きました。つい最近、数カ月前です。というので、これは業者にもよるのでしょうけれども、相当地域差があるということはご認識いただきたいと思います。ということで、理解を得られなかったら適当にやると、故意にやると、そういうことはないとは思いますけれども、なかなか理解が得られなかった場合には、仕事を棒に振るかどうか、業者の判断でそうせざるを得ないという場合も、都市部ではあると。地方部はちょっと怪しいところがあるというお答えでご勘弁いただきたいと思います。
あとは……。
【大塚委員長】 最後のスライドで、周辺住民の過剰反応。
【公益社団法人全国解体工事業団体連合会 出野専務理事】 最後の9ページ目ですかね、周辺住民の過剰反応への対応が増えると、これはいいことだというご意見だと思うんですけれども、我々としても7割から8割はいいことだと思っています。むしろどんどんやってほしいと。
そのかわり、やり方ですよね。建リ法では届出が済みましたというシールを掲示板に張ることになっております。これは法律事項ではないんですけれども、国交省の指導で各県の条例でやっております。本当は法律にしていただきたいんですけれども、何回言ってもやっていただけないのでと言ったらちょっと語弊がありますけれども、そういうことで、解体現場に行って掲示板、看板を見たら、そこに建リ法の届出がしてありますよというシールが張ってあります。これは隣のおばさんでもわかるわけですよね、通行人でもわかる。ということを石綿でもやったらいかがでしょうかと。石綿も、大防法の届出をやっています、この現場は。あるいは石綿則の届出をやっていますと、こういうことが周辺住民にわかるように掲示板に張ると、掲示をすると。そして周辺住民の方にお願いをすると、しっかり監視をしてねと。そういうことをやっていただければ、周辺住民の過剰反応への対応といいますか、対策といいますか、これも役に立ちますし、解体業者としても別に困った話ではないというので、これはむしろ7割から8割、下手すると9割以上、業界としては賛成ということでございます。ということで、環境省のほうでもそういうことをぜひお考えいただければと思います。
そのためにはPRが必要かと思いますけれども、PRはわけないと思います。交通事故で3,800人亡くなっていますけれども、石綿の中皮腫で1,600人亡くなっています。どうですか、これ、大変なことですよ。1回全国民に広報したら、こんなものはあっという間にみんな関心を持ちますよ。それで隣の解体現場に行って掲示板を見ますよ、本当に届出をしているのかどうかと。それで一発ですよ。だから行政の方もパトロールする必要はないと思います。というのが我々の意見です。
以上です。
【大塚委員長】 はい。さっきの外山委員のご質問は、作業員のばく露の問題もあるので、周辺住民の過剰反応というのはそれほど重視すべきではないんじゃないかという、そういうご趣旨の質問だったんですけれども、あれですか。
【外山専門委員】 それほどではないということでは、労働者のばく露の問題ではないのかということです。
【大塚委員長】 ああ、はい。それはいかがでしょうか。
【公益社団法人全国解体工事業団体連合会 出野専務理事】 労働者のばく露の問題も増えるであろうという話ですか。
【外山専門委員】 ここで問題点となっているので、そういう質問をしたんですけれども、住民の過剰反応もあるとは思うんですけれども、現状でやっぱり労働者の方が解体現場でばく露してしまっているということがあるので、それに関してはどうですかという趣旨の質問です。
【大塚委員長】 レベル3についてということですよね、特に。
【外山専門委員】 そうです。
【公益社団法人全国解体工事業団体連合会 出野専務理事】 今のところはレベル3については石綿則がメーンですよね、労働者については。石綿則に従って、マスク、呼吸保護具、あるいはもろもろのことはやっておりますけれども、確かにおっしゃるようにレベル1・2に比べると相当甘いというところは否定はできません。やってないとは言いませんけれども、そういう風潮といいますか、そういう傾向がないとは申し上げられません。あるかと思います。少しはですね。
【大塚委員長】 よろしいでしょうか。どうしてもという方がいらっしゃったら一人ぐらいいいですけど、大丈夫ですか。
では、出野委員、どうもありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本繊維状物質研究協会でございます。こちらは小西様からご説明をお願いします。
【一般社団法人日本繊維状物質研究協会 小西専務理事】 ただいまご紹介いただきました、日本繊維状物質研究協会の小西でございます。よろしくお願いいたします。
まず、お話をする前に、私どもの協会、先ほども出野委員のほうから詳しい説明があったんですけれども、私どももちょっと簡単にご説明いたします。
私どもの協会は、繊維状物質そのものを生産している会社、それから繊維状物質等に関わる生体影響の研究者、それからそういったものの計測を業としている人たち、それから、今日のテーマでありますアスベスト等の解体・改修、そういうことに携わっている方、それと、あるいは計測機器等の機器メーカー、あるいは解体に使う道具ですね、そういったもののメーカーの人たちの集まりとして発足している協会でございます。
漏洩監視に関しての法規制等については、ここに書いてあるとおりでございますので、これは専門家の皆さんですからこれは飛ばしますけれども、この中で、別表7に関するところでちょっと気になるところがございまして、これは平成26年5月に出た通知でございますけれども、この第6の作業基準という中のところでございます。
これはまず一つは負圧管理を徹底しろということ、これは当然ここに書かれているとおりでございますけれども、それから、集じん・排気装置の稼働の確認という中で、結構細かくこの通知が書かれております。ただ、この中のこの黄色く書いているところでございます。この「粉じんを迅速に測定できる機器」には、粉じん相対濃度計、いわゆるデジタル粉じん計ですね、それからパーティクルカウンター、繊維状粒子自動測定機(リアルタイムファイバーモニター)が含まれるという、こういう通知が出ております。ただ、この文言が、実はちょっとネックになっているところがあるということでございます。記録も、特定工事が終了するまでは保存しなさいということになっております。
現状の問題点、ちょっとここに書き出しましたけれども、集じん・排気装置の設置時の点検が徹底されているのかどうかということでございます。この徹底されているかどうかのチェックというのは、例えば地方自治体の方、あるいは労働基準監督官の方、立ち入りをしたときにチェックをされていると思うんですが、そのチェックが本当にできているのかどうかということも一つ問題があるということですね。
それから、除去作業中の作業室内の負圧管理の状況をきちんと把握しているかどうか。それから、セキュリティーゾーンの出入り口からの漏洩監視としての測定の必要性の問題。それから施工区画周辺の測定。それから隔離養生の撤去に関するところ。それから、先ほどもお話がありました、レベル3の除去作業時の測定をどうするのかということ。それから、アスベストモニタリングマニュアル、これは環境省がアスベストのモニタリング用のマニュアルを出しておりますけれども、その中についてちょっとお話をさせていただきます。それから、漏洩監視者とか測定者に対する教育の必要性というようなことを問題点として取り上げております。
まず、集じん・排気装置の設置時の具体的な点検方法ということで、これは厚生労働省の石綿飛散防止対策徹底マニュアルの内容と、環境省で出されておりますマニュアル、ほぼ同じような内容でございます。ただ、多少ちょっと厚生労働省のマニュアルがまた新しくなっていますので、少し内容が変わってきているということで、この中で、実はこの集じん・排気装置の設置時の点検のときに、点検方法としては、いわゆるスモークテスターというものを使います。そのスモークテスターを使って漏洩の点検をするわけですけれども、この一番下のところに記載しているように、繊維状粒子の自動測定機(リアルタイムファイバーモニター)は使用できないということなんですね。これはあくまでも繊維状物質を検出する機器でございますから、スモークテスターの煙には反応してくれないということでございます。ところが、現実に調査に行ったときに、設置時の点検はやりましたかということで、やりましたということで、そのときの粉じんのレベルはゼロというふうに書かれておりました。その後調査をしておりましたら、集じん・排気装置から漏洩があったと。これはおかしいと思い、どういう機器を使いましたかと聞いたときに、ファイバーモニターを使っていたということなんですね。そのため設置の点検のときに漏洩がつかめなかったということになるわけでございます。
厚生労働省のマニュアルの中では、漏洩監視に関して、初期濃度というのと、それから漏洩監視用基準濃度という二つの濃度を目安にしていくというやり方をしております。
ちょっと細かいことは飛ばしますけれども、それで実際には、最初に集じん・排気装置がとまった状態の中で排気装置の排気のダクトの中では測定し、その後、集じん・排気装置を稼働するとHEPAフィルタを通った空気が出てくるので、清浄な空気が出てきますから、濃度が減衰するということで、この時の濃度を測定します。最初の濃度を初期濃度、それから減衰して安定した状態で出てきたものを漏洩監視用の基準濃度というふうに呼んでいるわけでございます。
測定にはパーティクルカウンターや粉じん相対濃度計を使用しますが、両者の傾向は同じようにこういう形で減衰することが確認できるということになるわけでございます。
実際に煙を吹きかけて、第1ステップではフィルタの、HEPAフィルタだとかフィルタの周辺のところを中心にして見て、フィルタの破損だとかそういったものを調べる。それがオーケーであれば、次に今度は設備のほうのところに今度は煙を吹きかけていって、そこから漏洩していないかどうかというのは第2ステップで調べるということになっているわけでございます。ここで黒丸で書いているようなところでございますけれども。
実際には、これがフィルタを見ていますけれども、こういうパネル板ですね、こういうところのすきまだとか、そういった劣化してきて、コーキング材が劣化していればここから空気が入ってしまうとかといろんなことがあって、そこのそれぞれのところにスモークテスターで煙を吹きかけて、そのときにいわゆる漏洩監視用の基準濃度を超えて粉じん濃度が上がっていかないかどうかということをチェックしていくわけでございます。安定していれば、これは使用可能な正常な状態だというふうに言えるんですが、漏洩監視濃度を超えてさらに初期濃度を超えていった場合は漏洩ありということになります。初期濃度はバックグラウンドの状態の濃度というふうに考えていただいても結構ですけれども、そういった場合にはこれは漏洩しているというふうに判断して、集じん・排気装置のどこの部分で上がったのかということをきちんと特定して、そこを補修するということになるわけでございます。補修してきちんとやって、もう一回点検して、それで漏洩がなくなっていればそれは使えると。だけれども、その漏洩箇所が発見できなかったり、措置ができなかった場合には、集じん・排気装置を変えなさいということですね。別の集じん・排気装置を使ってくださいということで、設置時の点検をするということになります。
じゃあ点検をしたときに対して、例えば自治体の人たちがそこへ立ち入りをしたときに、点検を実施したことがわかる記録を残してもらいたいということで、我々が提案しておりますのは、ここに示したとおりで、点検日だとか実施者、それからどういう機器を使ったのか、それから第1ステップではどうだったのかということですね。それから、第2ステップでどういうところに漏洩があったのか、なかったのかと、こういうことで、最終的に第1ステップ第2ステップの結果で集じん装置の使用は可能なのかと判断したのかということをきちんと記録として残してもらいたい。これがないと本当にやったかどうかがわからないということでございます。
それから、作業中の負圧管理、これは厚生労働省も環境省も同じでございますけれども、微差圧計を使って記録するということでございます。できれば記録の様式なんかも統一したほうがいいんじゃないかなという気がいたします。また微差圧計でなくても、そのときの、例えば吹き流しだとかスモークテスターを使って、負圧が確認できる方法で、セキュリティーゾーンの更衣室から作業室方向へ空気が流れているかどうかということを確認しその時の写真や記録を残しておくことが重要ではないかと思います。
それから、セキュリティーゾーンの出入り口からの漏洩監視としての測定の必要性ということになります。これは、いわゆるセキュリティーゾーンの出入り口というのは、適切な負圧が管理されていれば、隔離養生の外からの空気の吸引口になるということですね。そこにみんな空気が集まってくる。外で解体をやっていた、その空気で発生した粉じんなんかも全部そこへ集まってくる可能性があるということでございまして、それが測定に影響するということで、これは現実には現場であるのは、中で解体しているものと外で測定されたアスベストの種類が違うなんていうこともあるわけですね。そうすると、セキュリティーゾーンの入り口の測定というのは、中の作業をしているものが、セキュリティーゾーンを通して外へ出てきているかどうかというのが本来の計測の目的なんですけれども、それに当てはまらなくなってしまうということです。
それから、測定機の設置場所です。これは、我々の会員のところで測定をやっている人たちも言っているんですが、一番大事なところで測定しようと思っていても、出入り口なので、邪魔だと言われて機械を置かせてもらえないケースがすごく多いという。出入口からだんだん離れていってしまうというようなことが現実に起こっているということでございます。
もう一つは、この測定結果が得られるまでには時間がかかるため、瞬時の、いわゆる漏洩監視そのものにすぐにつながらないということでございます。ですから、こういうところではかるのも、やはり粉じん相対濃度計だとか、パーティクルカウンター、あるいは作業が開始されていれば繊維状粒子の自動測定機等のリアルタイムで数値が把握できる計測器を使うべきではないかということでございます。
施工区画周辺の測定については、これはアスベストモニタリングマニュアルに掲載されている、一つのパターンとして、施工区画周辺のところを4カ所測定すると。これについては特に問題があるわけではないんですが、ただこの場合も、実際のPCM法で測定すると、測定するための、定量下限を得るための計測時間というものがあります。ですから、もし漏洩していても、これはリアルタイムにはわからないということになりますので、こういうところもやはりリアルタイムの計測器を使うべきではないかと思います。
それから、隔離養生の撤去に関してございます。隔離養生の撤去については、ここに書いてある①番から⑥番まで、これは中でこういうふうに作業してこういうふうにしてくださいということを書かれているんですが、最後に誰が判断して養生を解放するのかという問題があります。その判断した人が責任を持たなきゃいけないんじゃないか、もしそれが清掃したけれども取り残しが残っていたり、そういう問題があった場合に、養生を開放してしまえば大気に全部飛散するわけですね。ですから、そういったことについて判断した人というものもきちんと責任を持たせるべきじゃないかと。
それともう一つは、判断者の氏名等の記録を残すということですね。
それからもう一つは、隔離養生撤去時に施工区画周辺の、先ほど言いました、例えば最低4カ所くらいの測定をやっておいたほうがいいんではないかということでございます。
それからレベル3ですね。先ほど問題になりましたレベル3について、これはアスベストモニタリングマニュアルでは、「前室や集じん・排気装置を使用しない解体現場(レベル3のみの解体現場等)については、作業環境周辺1箇所とする。」というふうに今のところなっておりまして、下に書いてあるこういうような図が示されております。この場合は、実は、例えば外壁の除去だとかをやった場合に、実際にこの作業している直近の下のところで計測していても、実際に発生したものがその近くへ落ちるのかという問題があるわけです。それは空気で拡散されて風があれば全部飛んでいってしまう可能性がある。ですから、そういう意味で、本当に飛散状況を把握するのであれば、やはり作業をやっている人にサンプラーをつけて、それでその状況を確認する、これは作業者に、先ほど言いましたような小型の粉じん計だとかそういったものもありますし、そういったもので管理していくということも加えていくべきではないかなと。決して下で測定することを否定しているわけではありませんけれども、そういうことも考えて、私なんかはやるときは、この1カ所ではなくて、先ほどと同じように4カ所ぐらい、隔離養生はしていませんけれども、できるだけ周辺域の4カ所ぐらいはカバーするようにはしております。
アスベストモニタリングマニュアルについてですが、今現在、漏洩監視のところのアスベスト迅速測定法というところで記載がありますけれども、ここで最初に書かれているのが、例えば偏光顕微鏡法であるとか、それから蛍光顕微鏡法等が追加されて書かれた、これは大変いいことなんでございますけれども、これは、分析法の迅速法であって、リアルタイム計測の漏洩監視そのものとは必ずしもイコールで結びつかないのではないかということで、もちろんここには、相対濃度計だとかそういうことに関しては書いてあるんですけれども、やはりこの漏洩監視というための計測法と、それから分析に関わる迅速測定法というものをきちっと仕分けをしたほうがいいのではないかなという気がいたします。
これは環境省からいただいていた質問内容になりますが、電子顕微鏡なんかで測定をする場合は、繊維数が少ない場合は、例えば1日、2日で結果は出ますけれども、繊維数がすごく多いような場合には、下手すると1週間ぐらいかかると、私どもの会員の分析機関なんかでは、大体そのぐらいの日数がかかるというふうなことを言っております。
そういう意味では、こういう漏洩監視のための測定というのは、一つは行政が立入をしたときに計測する目的でやることと、実際の現場で仕事をしている人たち、あるいはその仕事の管理をしている人たちが、自分たちが計測する漏洩監視の測定を区別して、わかりやすくやり方をちゃんと教える機会がなければいけないのではないかなということでございます。
それから、迅速測定法の分析法については、これはもちろん高度な技術を使いますから、教育が必要だということになろうかと思います。先ほど申し上げましたように、漏洩監視者とか測定者に対する教育の必要性ということで、実は私どもの協会で、平成26年6月から7月にかけて、実際の模擬チャンバーを使いまして、実技中心の講習会をいたしました。大変好評をいただきました。そこには漏洩監視の担当者、現場の担当者とか、そういう方もたくさん来られていまして、逆に労働基準監督官が立ち入りをされたときの、その人たちが監督官に一生懸命やり方を教えていたというようなこともございましたので、こういうふうな講習の必要性を感じております。
最後になりますけど、来月、ちょっと宣伝にもなるんですが、来月、私どもの協会で、また改めて実技講習会をやろうということで、今計画をしておりまして、定員いっぱいに近づいているというような現状でございます。
以上でございます。
【大塚委員長】 どうも小西様、ありがとうございました。
では、ただいまの説明につきまして、ご質問のある方は全員名札を立てていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ではこれで締めますけど、じゃあ小坂委員、お願いします。
【小坂専門委員】 ページで言うと初めのほうなんですけれども、デジタル粉じん計のことについて言及されましたけれども、集じん排気装置の排気のチェックにデジタル粉じん計を使うというのは、これはスライドの11枚目ですかね、にも書かれているんですけれども、これはやってはいけないですよ。というのは、デジタル粉じん計というのは労働環境の測定装置ですよね。だから濃度自体がかなり高いところに合わせた装置だと私は理解していまして、そうだと思うんですけれども、集じん機からの排気口というのはHEPAフィルタを通っていますから、パーティクルは基本ゼロです。ですから、これはチェックしようとすればパーティクルカウンターしかないんです。だからこれは、デジタル粉じん計を使うということは、これはもう絶対やめなければ、漏洩を見逃すことになると思います。
【大塚委員長】 どうもありがとうございました。
小西様、後でまとめてお答えいただきますので、すみません、ちょっとメモか何かしておいていただいて、覚えていていただければと思いますが。
では外山委員、お願いします。
【外山専門委員】 大きな質問を一つと、今、小坂委員の質問と関連して、小さい質問と技術的な質問を一つします。
23ページに関連しますが、前回の委員会の中で、気中濃度測定をする必要があるということが中間報告でも書かれていて、基準値を決めるということがあって、結果的には見送られたんですけれども、その代替案的な形で漏洩監視ということが出てきたというような経緯があります。でもやっぱり気中濃度測定を顕微鏡法で行うということは非常に意味があって、要は石綿のリスク、ばく露量に対して、発症リスクというのはPCM法ではかったものでしかわからないわけですね、リスクはわからないということなので、デジタル粉じん計で測ったとしても、そのときの濃度はわからないわけですから、実際のリスクはわからないということです。やはり周辺監視、漏洩監視ということになるのかわからないですけれども、いずれにしても顕微鏡法でもって気中濃度を把握しておくということは非常に重要だと思っています。その辺り、漏洩に関してはこれでいいかもしれない、これはこれでやるとして、それと別になるのかもしれないですけれども、顕微鏡法による気中濃度測定は重要ではないのかというのが1点目の私の質問です。
2点目が、やはりデジタル粉じん計の問題で、非常に感度が悪いですね。デジタル粉じん計というのは立米当たりのミリグラムの粉じんの重量で示すと。1PCMという、1単位がどのぐらいに換算されるのかというようなやり方ではかっているということですので、1個1個の粒子を数えているわけでもないですし、繊維を数えているわけでもないです。石綿は1本1本の繊維の数を数えるということで、これはサイズによっていろいろ変わってはくるんですけれども、ざっと計算すると、デジタル粉じん計のメーカーの仕様を見ると、デジタル粉じん計では0.001mg/m3が1単位というか最小単位になっているんですけれども、実際に石綿ではかろうとすると、その10-2ぐらい低くなってくるんですね。ですので、そういったもので監視ができるかと言われると、私も小坂委員と同じ意見で、これはやっぱり難しいのではないのかなというふうに思います。
【大塚委員長】 ちょっと質問を短目に。
【外山専門委員】 すみません。デジタル粉じん計がちょっと問題があるのではないかという質問です。
【大塚委員長】 じゃあ、本橋委員、お願いします。
【本橋専門委員】 本橋ですけれども、24ページ、ポイントは一つですけれども、隔離養生の撤去について、①から⑥まで書いてあって、隔離を解除する、普通のマニュアルでいくとこうなっていると思うんです。誰が判断するかというよりも、判断基準をちゃんと書くということがいいと思います。これを誰がやるかといって資格等を定めというよりも、石綿作業主任者がやるのが当たり前だと思います。それを書いておけばいいだけで、屋上に屋を重ねて新しい資格を作るというより、①から⑤までを徹底すればちゃんとできるんじゃないかなというふうに私は思っているという、コメントですけれども、意見があればお願いします。
【大塚委員長】 では、神山委員、お願いします。
【神山臨時委員】 セキュリティーゾーンの測定は、今要求というか意見が大分出ているという紹介があったんですけれども、石綿則では負圧がきちっと管理されていれば内部から外への漏洩はないということで測定はしていないわけですけれども、今、お話で、外部環境のアスベストを呼び寄せているということ。外部環境が汚れていればそのセキュリティーゾーンに石綿等が呼び寄せられてその辺の値が出るという。実際にそういう事態もあるわけですけれども、そうなると、セキュリティーゾーンの測定をすべきだというときに、外部からのアスベストなのか内部から出ているかどうかという区別もかなり難しくなるだろうし、それから施工区画測定がきちっとされていれば、例えばビルの上層階から下のほうへどんどん工事が進んできたときに、ほかの階からの汚染が下のフロアにあるとか、そういうことも場合によってはあるんでしょうけど、セキュリティーゾーンの測定で環境の汚染を見つける目的でそういうことを含めてやるのかどうかなど、非常に複雑になってくると思います。その辺の感想というかご意見があったら聞かせていただきたいと思います。
【大塚委員長】 では笠井委員、お願いします。
【笠井専門委員】 日建連の笠井でございます。ご説明ありがとうございます。実務者としての質問ですが、除去中の作業場内やその周辺、あるいは隔離養生を撤去するときに大気濃度測定することは非常に大切なことだと思いますが、顕微鏡法では時間がかかるという問題があり、私たち、工事を行う会社の立場からすると、例えば、夜間の工事で翌朝には通常通りの営業ができるように除去工事等を終わらないといけないとか、あるいは週末に除去工事を実施し、発注者は月曜日からは普通に使用したり、営業するというケースが多くあります。こういう工事の場合には、すぐに測れ、分析結果が出ないとやっぱり困ります。隔離養生を解除するのに、1.5時間の換気では十分ではないと問題視される話もありますが、そういう観点からも、測定機器自体は精密機器なのでという事情があるのかもしれませんが、迅速に測れる測定機器が本当にできないものかと、そういうものがあれば本当にありがたい。それは作業場内の大気濃度の測定に関しても、すぐに測定し、分析結果が出れば、異常があれば、工事を中断することも可能となり、我々としても常々望んでいることです。そういう迅速測定機器を製造することは技術的に難しいのでしょうかという質問です。
【大塚委員長】 ありがとうございます。では山神委員、お願いします。
【山神専門委員】 アスベスト除去作業中の漏洩の監視についてなんですけれども、私は地方自治体におりまして、自治体でそういった監視の作業をしているわけなんですけど、フィルタで捕集して顕微鏡法で行うというやり方でしていますけれども、当日に結果を出すという方法をとっているので、先ほど、数日間かかるというお話だったんですけれども、体制の問題であって、技術的には可能なんじゃないかなというふうに考えていますけれども、その辺りをちょっとお聞きしたい。
【大塚委員長】 たくさんありましたけれども、すみません、小西様、お願いします。
【一般社団法人日本繊維状物質研究協会 小西専務理事】 今、最後のご質問から順番に遡っていきたいと思いますが、今の測定そのものにつきましては、もちろん測定の担当者だとか測定の体制というものが重要だとは思いますけれども、基本的には1日後に結果が出ても、その結果をもって、その結果で現場に戻そうとすると、もう工事は終わりましたと。もしそこで濃度が出ていれば既に漏洩しているということなんですね。ですから、二つに、これは外山さんのご質問とも関連してくるんですが、二通りあるわけですよ、測定というのは。リアルタイムで、漏らさないためにどう計測するかということと、それから、そのときに飛んでいたものが本当に石綿なのかどうかということのチェックをする。ですから、私はPCM法とかの測定を否定しているわけじゃないんです。使い方をきちっと区分すべきじゃないかというふうに考えています。もちろん分析法で、実際に測定の車をつくって、現場へ持ち込んでやっておられるところもあります。それでも結局、定量下限の問題がありますから、ある時間サンプリングをしなければいけないという問題がどうしても出てくるわけです。リアルタイムではないということ。ですから、もちろんPCM法で測定して短時間にできればそれにこしたことはないんですが、それと漏洩しているかどうか、漏洩したらすぐとめなきゃいけないということとは、ちょっと違ってくるのではないかと、それは区別するべきじゃないかと思います。
それから測定機器の件で、石綿を測定できる機械はないのかと。これ現実には、いわゆる繊維状粒子自動計測器というものは、もう既に市販されてきておりますし、その中でももっと簡易型のものもございます。ですから、そういったものをどう利用していくかということになろうかと思います。全くないわけではございませんで、世界でいろいろやっているところを考えていけば、繊維状の粒子の計測器というものは何種類かあるわけです。日本でも販売されているものも何機種かあります。ですから、そういったものをどう取り込んでいくかということになろうかと思います。
それから、本橋先生のご質問についてですが、確かにおっしゃるとおり、新しい資格をつくるとかということをこちらでは考えているわけではなくて、誰かが、その開放を指示した人の責任をきちんと問えるようにしておくということが必要なのではないかというふうに思います。それがないと、もし後で問題が起きたときの責任の所在というのははっきりさせておくべきではないかというのが意見でございます。測定そのものは、やるかやらないかというのはちょっと、これから必要に応じてやる必要があるのかもしれません、完全に清掃されてオーケーが出ていれば別に測定の必要はないのかもしれません。
それから、神山先生のほうのご質問ですけれども、セキュリティーゾーンの前の測定という意味でいうと、負圧管理だけという、厚生労働省のほうは負圧管理だけというふうに言っておりますけれども、セキュリティーゾーンの測定は、できればそういうものをきちんと把握できる位置の確保ができれば、やることは構いません。ただ漏洩監視ということであると、やはりそのときにパーティクルカウンターなりそういった自動計測器を使うのと並行して、先ほど言いましたように、目的が分かれていてフィルタで取るものと使い分けをする必要が出てくるのではないかというふうに思います。
それから、外山さんのほうと、それから小坂さんのほうのことでございます。粉じん計に関してですが、なぜこれは粉じん計を入れてきたかといいますと、現実にはもちろん漏洩していてやっていれば高濃度になります。設置時の点検のところでいろいろ検討した結果、パーティクルカウンターと、それから粉じん計ですね、相対濃度計で測ったとき、相対濃度計で使えないのは、ピエゾバランス式粉じん計は使えません。それを実際の実験をいろいろ繰り返してやっていった結果で、もし漏れていたときにパーティクルカウンターと、それから粉じん計が同じような傾向をちゃんと示したということが根拠になって入れているということでございます。ですから、その根拠そのものがだめだという理由は出てきておりません。それで、もちろんパーティクルカウンターも一緒に計測した結果でそういうことを決めてきたと。
もう一つは、大事なのは、粉じん計については国家検定の制度があるということでございます。機器の担保ができるということ。パーティクルカウンターについては国家検定の制度がありませんし、もう使っている方はご存じだと思いますが、隣で測れば数字がみんな違うということが現実にあるわけです。ですから、そういうことからいって、一つには国家検定の背景があるものをやっぱりきちんと使うべきじゃないか、いわゆるキャリブレーション制度があるもの、もちろんパーティクルカウンターもそういう制度ができていけばいいわけですけれども、今のところはそういうことで考えているということでございます。
【小坂専門委員】 いいですか。
【大塚委員長】 では、どうぞ、小坂委員、お願いします。
【小坂専門委員】 今、除去現場のことでいろいろ出たんですけれども、セキュリティーの出入り口の測定ということですけれども、これは負圧になっていれば問題はないわけで、問題は、集じん機が突然ストップしてしまったとか、あるいは負圧状態がよくなくて人の出入りが激しいとか、そういうことで外へ漏れ出てくることがあり得るわけです。ですから、除去工事現場で開いているのはそこだけですから、これはやはりチェックしておかないと何が起きるかわからないということで、絶対必要です。私が解体現場にずっと出入りしていた経験からは絶対必要なことだと思っています。
ですから、それで、今、測定法どうこうということになっているわけですけれども、神山先生が今おっしゃったセキュリティーの出入り口の話ですけれども、漏れ出てくる濃度は周りの少々のコンタミというんですか、そういうものと比べものにならないぐらいのものが出てくる可能性があるわけです。ですから、そういう点では、やはりバックグラウンド等がわからないんじゃないかとおっしゃるけれども、漏洩があったときにはこれははっきりわかりますから、やはりあの場所は必ずチェックしておくべき場所として続けるべきだと私は考えています。
【大塚委員長】 ありがとうございました。神山委員はそれはよろしいですか。
【神山臨時委員】 今現状は、セキュリティーゾーンの測定は義務もないし、実際に現状はどうされているかわかりませんけれども、負圧管理がきちっとされていれば、外部から先ほどの紹介があったように外部の空気を中に呼び寄せる入り口になっているわけですね。ですから、その負圧管理をきちっとするということが第一で、測定をする場合ですと、外部から寄せているアスベストと、内部から出てきているアスベストを区別することがなかなか難しいと思いますが、何かいいアイデアはあるのかということです。いい答えはあまりないと思いますが。
【大塚委員長】 小西さんもどうも要領よくご回答いただきましてありがとうございます。
では、どうもありがとうございました。
次は自治体の方々にご説明をお願いしたいと思いますが、最初に申し上げましたとおり、二つの自治体に共通の質問が出てくるかと思いますので、続けてご説明いただいて、質疑応答はまとめて行いたいと思います。
では山形県の佐藤様、熊本県の八浪様、続けてご説明をお願いいたします。
【山形県環境エネルギー部水大気環境課 佐藤氏】 山形県の水大気環境課の佐藤でございます。それでは、山形県の状況につきまして報告させていただきます。着座にて失礼いたします。
それでは、環境省さんのほうから要請がありました項目につきまして、まとめましてご報告させていただきます。
最初に、山形県の体制などについてですけれども、山形県は鳥海山、月山、蔵王連峰など秀麗な山々を要し、また母なる川、最上川が米沢から酒田までということで、県内のみを縦断して日本海に注ぎ込んでいるという県で、県土面積9,323平方メートル、これは全国9位の面積になっております。県土の約72%は森林が占めるという、自然豊かな土地柄になっております。
市町村数は35で、地勢、歴史などの関係で県内四つの地域に大きく分けられております。平成13年度からは四つの総合支庁という出先機関で集約しておりまして、権限を委譲し、各地域で物事が完結するような体制になっております。村山地域、最上地域、置賜地域、日本海側の庄内地域の四つになります。
続きまして、県の機関の役割ということでまとめてあります。県庁水大気環境課、私のいる課ですけれども、水大気環境課では典型7公害のほか、浄化槽法、フロン排出抑制法、PRTR法、公害紛争処理法、水資源関係を担当しております。平成23年度からは新たに放射線関係モニタリングの一部も担当しております。嘱託職員を含めて9名ということでありますので、全国的にも人数が少ない方ではないかと思われるところです。
石綿対策については、当課の大気環境担当がやっているんですけれども、3名で大防法から土対法、ダイ特法、フロン、騒音・振動・悪臭などをやっており、アスベスト対策といたしましては、立入検査の基本方針の策定、マニュアル整備など、企画調整的な業務を行っております。
各総合支庁、先ほどご説明しましたが、四つの総合支庁があるんですけれども、その総合支庁の環境課におきましては、これらの法律や当課所管の水質汚濁防止法、浄化槽法に加え、廃掃法、自然公園法、鳥獣保護法など様々な法律を担当しておりまして、先ほどもお話ししましたように、総合支庁で届出の受理から立入検査、そして指導、命令などの、これらの法律に関する監視・指導等の事務を全て一括で行うことができるよう、権限を委譲しているところです。
石綿対策としましても、大防法に基づく届出の受理、立入検査、指導といった実務部分は、総合支庁の環境課が一括で対応しているというような状況になっています。
なお、※印のところに書いてあるんですけれども、来年4月から山形市が中核市に移行します。山形県内におきましては初の中核市移行ということで、大気汚染防止法など各法令に基づく事務の一部が山形市に移譲されるということになっています。
こちらは、山形県と全国の比較ということで、ちょっと参考になるかはわかりませんが、さまざまな指標を比べてみたところです。括弧内が全国に対する山形県の割合という形になっています。①から③までは国勢調査の結果なんですけれども、27年度が最新ですので、27年度の国調の結果を載せております。
今年10月1日の人口は109万まで減少しておりますので、どんどん少子化で人口が減少しているというような状況になっています。
なお、山形県は三世代同居率が全国1位になっております。そして持ち家率も非常に高い県でありますので、人口のこの比率、全国35で0.88%程度なんですけれども、世帯数は少なくなりますし、共同住宅にお住まいの世帯はますます少ないということで、大体皆さん一軒家の住居に住むということが多くなっています。ですから、以前はマンションなどが少なかったんですけれども、ここ20年間の状況を見ますと、ようやくマンションなどの共同住宅も増えつつありますが、古いものは少ない状況です。土地価格も非常に安価ですので、法人の事務所面積なんかも広くなっておりますし、駐車場なども、立体駐車よりは平面駐車のほうが多いということで、建物はそんなに多くないのかと思われます。
⑤から⑦がアスベスト関係で数字を拾ってみたものなんですけれども、大体全国の0.5%程度の数字ということで、特定粉じん排出等作業の件数も、民間の建物の状況なんかも大体0.5%であり、全国的に見ると案件は少ない県かと思われます。
こちらが2番目の、特定粉じん排出等作業に係る状況ということですが、ここ10年、大体このぐらいの届出数、作業件数というふうになっています。括弧内が山形市の分を拾っているので、来年からは山形市にこれぐらいの件数が行くのかなというような状況です。工作物に係るものは毎年少なく、解体作業と改造・補修の件数はほぼ半々ということで、若干解体による除去作業が多い状況です。
山形県におきましては、レベル3建材などを対象とした条例等による上乗せ規制は実施していないという状況なので、法律どおりということになります。
先ほどの届出状況なんですけれども、その届出があった際に立入検査などを法に基づいてやっておりますので、その立入件数などの状況をまとめてあります。①が大気汚染防止法の立入検査数ですけれども、管轄の労働基準監督署と調整いたしまして、毎回合同で立ち入りをしております。②が建リ法の合同パトロールということで書いてありますけれども、5月と10月に強化月間ということになっておりますので、建設部局と、また環境課の廃棄物対策担当と一緒に、全国一斉のパトロールを実施しているという件数を入れています。③番目がその他ということですけれども、建設リサイクル法による届出情報などから、建設部局、あるいは労働基準監督署と合同で立ち入りした件数を挙げています。これらにつきましては、アスベストのほかにフロン対策の関係、あるいはPCB廃棄物など、さまざまな視点で立入検査をして状況を確認して、指導などを行っているという形になっています。
建設リサイクル法に基づく合同パトロールは、平成15年ぐらいから実施しているんですけれども、石綿について集計しているのは26年度からでしたので、国の通知の出た26年度以降はアスベストの関係も確認していますので、その件数を挙げております。
行政指導の内容といたしましては、掲示内容の不備であったり、密閉性の確保、負圧の維持が不足しているということ、あるいは前室の設置状況の不備、廃棄物保管状況などの不備などを指導しております。解体作業を立ち入りした際に石綿があるということを発見し、無届出として対応した案件は今のところありません。
続きまして3番ということで、特定粉じん排出等作業に係る指導方針ということでまとめております。
実務を担当する各総合支庁環境課におきまして、統一した事務執行をする必要がございますので、必要な事項ということで、事務取扱要領と、それから特定粉じん排出等作業に関する届出等事務の手引きを示しております。これらに基づいて各総合支庁は届出の受理、立入検査、そして指導を行っています。上の事務取扱要領は、ばい煙発生施設とか一般粉じん発生施設、水銀排出施設とか、大防法に関する様々なものを規定しています。平成17年度にアスベスト対策が社会問題になった際には、国から立入検査の徹底などさまざまな通知が発出されたところですけれども、山形県でもそれらの対応ということで、平成17年から平成18年の途中まで、県要綱を制定して大防法の改正を先取りする形で規制を行っておりました。内容的には面積要件の撤廃であるとか、保温材など吹付けアスベスト以外のものも対象として届出を求め、作業基準なんかも定めていたんですけれども、改正法の内容とほぼ合致するような状況でしたので、法改正後は、この要綱は廃止しております。
この要綱を施行するに当たりまして、立入検査につきましては、原則、作業前、作業中、作業後の3回行くこととし、作業中、作業後については必要に応じて写真・書類などで確認できれば、それを作業完了報告書として求めるということで済ませると定めています。また、作業完了報告書は、現在も全ての届出の作業について求めることにしているんですけれども、要綱でそういうことを決めておりましたので、要綱が廃止になっても事務取扱要領あるいは手引きの中でそういったことを細かく決めて対応しております。
3回の立入検査につきましては、平成20年度ごろまでは確実にやっていたんですけれども、事務量の増加とか、現状などを考慮しまして、規模の大きい除去作業などに絞って3回やっております。ただし、作業前の立入検査は必ず行うことにしております。そのような形で、状況に応じて強弱をつけて対応しております。
なお、作業後の立入検査を実施する場合は、除去後に立入検査をするんですけれども、それが終わるまでは解体を始めないように行政指導を行いまして、直ちに実施しているというような状況であります。過去に問題のあったような除去事業者の場合は、何回か現場を訪問するような形をとっております。
作業中の立入検査につきましては、従前から、作業場内には入らず、周辺確認のみ行っております。
なお、先ほどもお話ししましたけれども、全て写真を添えて完了報告書をもらうという形にしております。
最後に立入検査のチェック表についてですけれども、これはどこの自治体でも作成していると思いますけれども、項目的には届出内容の整合の確認、あるいは作業基準の遵守の状況の確認、廃棄物の取り扱い状況の確認という形になっております。
これが完了報告書ですけれども、測定を行っている場合は測定状況を添付する。作業が終了した後の清掃の状況とか、作業現場の状況を写真に撮って添付するというような形で、必ず報告を求めるような形にしております。
なお、この報告書のほかに、別途マニフェストの写しなどの提出を求めております。廃棄物の処理状況については、同じ課の廃棄物担当と連携しながら確認することにしております。
【大塚委員長】 すみません、時間がなくなっていますので。
【山形県環境エネルギー部水大気環境課 佐藤氏】 はい。これが建設部局との連携ということで、このような形で全国一斉パトロールをやっているということです。報告書を求めて、建設部局とデータを確認するという形になっています。連携もさまざま工夫して、解体工事の着手前後にやるというようなことで、立入件数も増えているという状況です。
石綿の対策関係でその他ということで、測定の状況なんですけれども、現在、県による測定は実施していない状況になっております。災害時の測定の問題もありますので、県の計量証明関係団体と協定を締結しまして、災害時に石綿の測定を実施する体制は整えています。
最後になりますけれども、各論ということで、ちょっとはしょりますけれども、事前調査の信頼性の確保につきましては、法令上の定めがないということで、裁量でやっている部分があるということです。専門家に調査をさせるということが有効だと思うんですけれども、山形県内においては建築物石綿含有建材調査者は2名程度と聞いており、有資格者が非常に不足しているということです。そもそも事前調査の制度が知られていなくて、現場に行くと十分な事前調査もせずに解体した例もあったということです。
これは今年の見落としの例なんですけれども、きちんと事前調査をしていれば見落とさなかったものなんですけれども、石綿が見つかって、これらにつきましては適正に届出をし、適正に処理し、適正に実施されたということなんですけれども、こんなような例が毎年のようにあるということです。
こちらは大気の測定の関係ですけれども、もうマニュアルで細かな状況は決まっているんですけれども、法令での定めがないということで、なかなか測定についても難しい部分があるということと、濃度についても迅速性の確保という部分が大きな課題になっているんじゃないかということでまとめております。簡便で安価な測定方法があれば、そういったことで測定をしてもらうということはいいのかなというふうに思います。
なお、山形県の測定体制が今のところ十分ではないということで、そこも課題になっています。
あとは、除去作業の終了の確認ということで、取り残しがないような確認が、立入検査をするわけですけれども、除去後の立入検査で細かく取り残しの確認というのもなかなか難しかったり、あるいは完了報告書の写真を見るだけで全てを把握するのも難しい部分はあるというところです。そのような形が課題としてあります。
最後になりますけれども、レベル3の建材の除去作業ということで、レベル3の関係ですけれども、どのように対応するかということで届出時に確認いたしますと、小規模建築物を中心にほぼみなしで処理します、分析せずにみなしで解体しますというふうに聞くんですけれども、実際に立入検査をすると、解体業者の方、手ばらしとかせずに解体している例もありまして、なかなかこれも難しい課題だと思いますので、これらについては作業基準などを定めていただけるといいのかなということです。
レベル3のものを全て届出対象にした場合は、かなり行政のほうも対応が困難だろうというふうに思われますので、工事の規模、適正規模での裾切りを行っていただくとか、あるいは対象とする工法などを検討していただければというふうに思います。届出は不要とするが、手ばらしなどの実施について作業基準を設定するなどしていただけると、立入検査で繰り返し指導することで、今よりはリスク低減につながるんじゃないかなというふうに思われます。
最後はその他の課題ということです。
終わります。
【大塚委員長】 もう大分時間をオーバーされていますので、すみません。
では熊本市さん、お願いします。
【熊本市環境局環境推進部環境政策課 八浪氏】 本日は委員会のほうにお招きをいただきまして、誠にありがとうございます。熊本市の環境政策課、八浪と申します。よろしくお願いいたします。
失礼ながら着座にて説明させていただきます。
まず、ボリュームの関係で、駆け足でのご説明になりますことをお詫びいたしたいと思います。
こちらが目次になります。このような順番でご説明させていただきます。
まず、業務、体制についてですが、熊本市では平成27年度から担当班が1名増えて5名体制となっておりますが、大抵の大防法政令市のアスベスト担当部署では、大気汚染、騒音・振動、悪臭等も担当しており、アスベスト専任職員を得ている自治体はごくわずかのようでございます。
業者の状況としては、特に苦情対応については、どこの自治体でも隣の家の生活音の苦情まで対応せざるを得ないような状況でございまして、近所づき合いが希薄になった昨今、お互いに我慢しなくなったり、トラブルが発生した際のクレームをつける手段として騒音問題等を用いるケースが増えておりますことから、苦情件数も増加の一途をたどっておりまして、他業務をも圧迫している状況でございます。
次から早速本題ですが、事前調査の信頼性を確保するための措置についてでございます。
事前調査の制度については、自治体による立入調査で精度を高めていく必要もあるかと思いますけれども、実際の立入検査の場面では、事前調査の内容が甘く、石綿含有が不明の建材がある場合、既に解体業者の請負額が決まっている中で、新たな分析費用や処理費用を求めることとなるため、指導に従わせることに苦労している状況でございます。ですから、その前段階で事前調査が厳格に行われるような仕組みづくりが欲しいと思っておりまして、これは熊本市で既にやっている取組みではないんですけれども、ふれさせていただきたいと思います。
まず最初に来るのが、私などが言うのもおこがましいんですけれども、事前調査者のレベルの差を埋めていただく必要があるのではないかと思っております。またレベル3を含めて、適正解体を進めていけばいくほど、発注者による不正な調査の圧力が加わっていく可能性がございますので、事前調査者の独立性を担保していくような方策が必要かと思っております。
ついでにこれは事前調査よりも先の話でございますが、特にレベル3は種類や箇所数が多く、せっかく適正に事前調査がされていても、内容が業者にきちんと伝わらないということもあり得ますので、参考になるかわかりませんけれども、熊本地震での公費解体では、このような比較的簡単な事前調査様式を用いまして、全居室の部位ごと、建材ごとの石綿含有の有無を示しましたので、これで業者さんに浸透させていくことができたのかなと思っておりまして、このような様式を使っていただくのも一つの手かなと思っております。
続きまして、オレンジの枠囲みの事前調査で残していただくと自治体としてありがたいと思う情報についてですけれども、特にレベル3など、設計図面では石綿使用箇所が明らかにならないケースでは、各居室の建材ごとの写真や、建築物の建材の位置を把握するための図面に位置関係を落とした資料、そして建材ごとの石綿含有の有無、そしてその根拠資料、これに加えて、下のほうですけれども、石綿含有建材の全容を把握するための各居室内や建物外観の全景写真が欲しいと思っております。全景写真の撮り方はいろいろあると思うんですけれども、こういった形で少し引いて全体像がわかる写真を撮っていただきたいと思っております。
そして重要なのが、調査ができなかった箇所ですね。一番下の部分ですね。調査できなかった箇所がある場合に、その記録を残して、発注者や施工業者に伝えていただくということになります。これら全て、業者負担は大きいとは思いますけれども、お願いしたいと思っております。
続きまして、レベル1・2の除去確認方法です。これも熊本市でできていることではないんですけれども、これからできればと考えておりまして、事前調査同様、行政が全ては確認できない状況ですので、適正な除去の状況を行政が後からでも確認できるための記録を業者さんに残していただきたいというところを列記しております。
①と②についてはマニュアル関連の内容を記録に残すということですけれども、③についてもマニュアルにありますけれども、隔離養生を解く際に集じん機が1時間半以上稼働していることとなっておりますけれども、これを証明する記録が必要と考えておりまして、それには写真撮影ですね、集じん機を、日時写し込み写真などによって、集じん機の稼働時間、稼働開始と終了時刻の記録をいただけないかと思っております。これもビデオとかがいいんでしょうけれども、できるだけ業者負担がないようにということで考えました。写真撮影の際は、時刻の操作をされてしまうとどうにもならないんですけれども、このケースは故意になりますので、故意犯として虚偽記録等の罰則強化で対応できないかと考えております。
次は、熊本市での実際の立入検査による除去確認事例でございますが、養生確認については、以前から全件で実施してきましたが、完了確認については平成28年度から始めて、2年間で4件ですけれども実施しております。うち1件はこのように震災で吹付け石綿が落下しているような事例でございまして、それを発見して対応した事例でございますけれども、調査者協会様のご協力を得まして、写真のように厳格なレベルで除去工事を行い、完了確認も適正という形で終了させていただきました。なお、震災時に吹付け石綿が落下していた事例はこの1件でして、行政が入ってのリスクコミュニケーションを唯一行った事例でもあるのですけれども、この際は、石綿落下が判明次第、建物周辺をシートで覆うとともに、調査者協会様及び環境省様のご協力を得まして、公定法による気中濃度測定も行い、速やかな除去工事の段取りもしまして、完了検査内容も含めてですが、自治会を通じて周辺住民にお知らせをしております。
完了件数4件と先ほど申しましたが、そのうち、今の1件を除いた残り3件については、写真のように事例A、B、Cと取り残しが全て発見された事例でございまして、完了確認が必要と判断した根拠は、うち1件は通報があったこともありますけれども、3件とも養生確認の際に養生レベルが非常に問題ありと判断した、それが根拠としては大きかったです。
こうして取り残しが判明したわけですけれども、2件は養生撤去後の確認指導ではありましたが、再養生、またはグローブバッグ方式によって除去をさせました。残り1件については、除去作業直後に熊本市が隔離養生内に入って指導をし、除去をさせております。なお、除去作業直後に養生内に入るのは、安全面からこれ以降はしておりません。また、このような案件については、公定法での測定ではございませんが、作業中にファイバーモニターを使いまして、飛散がないことを確認しております。
続きまして、完了確認件数は直近で4件と述べましたが、実は震災対応でほとんどの解体現場を、かなりの解体現場を調査していた関係で、レベル1・2の実質的な完了確認を、ほかにも同時期に46件しておりまして、これらは適正に実施されたものばかりだったのですが、これを踏まえて除去業者の傾向を分析してみたところ、隔離養生のレベルが低いところが除去のレベルも低いという感触を得てございます。そのため、熊本市では、完了確認を全件で実施というのは難しいんですけれども、通報のほか、養生レベルに問題があると判断した場合は、今後も完了確認を実施していこうと考えております。
また、熊本市での取り残し事例は初歩的ミスによるものだったのですが、目視困難な部分での取り残しを防止するための方策についても考える必要があるので、こちらで考えてみたのですが、まず事前調査できなかった箇所の記録、そして、行政が建物の構造にも精通すること、例えば水平方向に増築して吹付け材が壁に隠れているというケースは珍しくないのに指摘もできないというのであれば監視の意味がございませんので、行政検査のさらなるスキルアップも必要と考えています。
最後、追加費用がかかるという場面では、請負業者が負担してしまうことが多いので、業者さんが安心して適正工事ができるように、発注者に意識を変えていただくことを長期的にでも考えていかないといけないと思っております。
次に、レベル3の除去確認方法です。
こちらは、熊本地震になりますけれども、立入件数が多くて、ただこれは非常事態だったので、ほかの業務そっちのけでということでやれたんですけれども、一応内容としては、アナライザーを使いながら業者さんに石綿建材の場所を教えて、手ばらし・散水の必要性を認識してもらって、廃棄物も見てボードが破砕されていないかのチェックもしたのですけれども、こういうことで立入件数が多かったので、手ばらしの浸透ができたのかなと思っておりますけれども、平常時についてはこうはいかないので、現在、自治体への届出制を検討されていると思いますけれども、件数の多さからすると、受付数もさることながら、自治体による立入検査をベースとして除去確認というのはなかなか難しいのではないかと考えております。もちろん、労基署への届出制のほうが実現した際にはデータをいただいて、何かあった場合にそれを活用して立入検査を行うというのはもちろん可能だと思います。
ということで、勝手ながら別の方法を模索させていただいたのですが、レベル3の完了確認については、レベル1・2のように取り残しの問題以上に作業過程がどうだったかというのが重要ですので、作業報告書に残していただきたいと考えております。この写真のように、欲しいのは建物の解体後の写真ではなくて、手ばらし完了後の骨組み状態の家の写真になります。それを外部と内部から撮影してほしいと思っております。
それから、作業過程を確認する際には、赤枠ですね、現場で発生した石綿含有廃棄物を写真で残す必要があると考えております。それは現在、最終処分場の受け入れ基準が非常に厳しくなっていますので、分別が必要ですので、機械ばらしはさすがに例が少なくなっていますが、右上の解体廃棄物写真のように、バールで叩いてしまうような、石綿が飛散するようなケースがいまだに見られております。その際はこのように、バックに現場の家の写真、これを背景にして、これ(写真のフレコン)は本当は口を開いていただきたいんですが、写真を残していただきたいと。あと、事前調査結果や平面・立面図のほうから、レベル3の種類ごとの廃棄物量というのは大体予測できますので、発生した石綿含有廃棄物は、この写真の種類ごとになりますけれども、この量が本当に適正なのかというところをチェックすることができます。もちろんフレコンに詰めると、奥のほうは粉々だったり、模範的な廃棄物をよそから持ち込むというのもありますけれども、そういったケースはもう故意で悪質になりますので、これは罰則強化で対応していかないといけないのかなと思っております。
続いて、レベル3建材の規制のあり方ですけれども。
【大塚委員長】 すみません、恐れ入りますが、ちょっと急いでお願いします。
【熊本市環境局環境推進部環境政策課 八浪氏】 はい。こちらは、特に2番が、現場Aのほうが、実際、現場では業者さんにビスを抜いて手ばらしというのは絶対できないとおっしゃるので、じゃあビスを抜かずに引きはがすと飛散状況はどうなのかというところを、環境省さんのモニタリングのときにしておりまして、現場Aというのは家なんですけれども、実際には、散水も大してしなかったんですけれども、手ばらしから箇所二、三メートルしか離れていないところで機材を設置して、実際はあまり飛散をしていなかったという事例でございます。事例が少ないので参考までですけれども。
あと、波形スレートの工場の関係ですね。ちょっと規模の大きいような工場があったのですけれども、このように非常に適正に解体をして、公費解体でしたので、プラス170万ぐらい、試算するとかかったんですけれども、ただ、これが実際に全国の数多くのスレート工場でこういうちゃんとした手ばらし解体ができるのかというところが非常に心配しておりまして、できれば国交省のレベル1の補助のような制度を、一定規模以上でもいいのでスレート工場にも適用できないかという、なかなか難しいとは思いますが、そういうことも考えました。
一応熊本地震の事例等についてふれるようにということでしたので、私たちは、地震前は、1,000平米以上の建物についてしかリストはございませんでした。そのために初動調査が非常に大変になったんですけれども、こういうことにならないためにも、石綿リスト、1,000平米未満のリストが必要と。経過措置としては、建築部局はちょっと能力的にも時間的にも、危険度判定のときはちょっと無理なので、そういったことで、石綿が入っているかどうかわからないんですけれども、吹付け材が露出しているかどうかというところだけは把握してもらって、それを環境部局がデータをいただいて、そこだけを調査すると。そうすれば大幅な負担軽減にはなると。それを暫定的にやろうと思っております。
これ(23貢図)は熊本地震のこういう調査をしたということですね。
あと、こちらもふれるようにということですので、住民からの通報なんかは100件以上、これは2年間ですけれども、ございました。内容はこういったところになります。あとは建設リサイクル法のパトロールも平成15年から始めて、大分長くやっておりますので、業者さんの、最初は対応が非常に厳しいものがありましたけれども、大分世代も変わってきて、対応も変わってきているので、継続していけば効果が出てくるものと思っております。
あと、労基署との連携についても、大分、特にレベル1・2の養生確認についてはやっておりますので、そういったところで引き続き連携していきたいと思っております。
これはご要望ですけれども、なかなか先ほど言った1,000平米以上のリスト、私、震災の初動対応で使ったんですけれども、非常に信頼性がなくて、これの信頼性を高めるためには、結局分析ですね、石綿の分析をしてもらわないとちょっといけないなと。微量PCBでも同じような事例ではございますけれども、そういったことをやることが可能ではないかと考えておりまして、この辺を、ハザードマップ等をつくるため、正確なものをつくるためにお願いできればと考えております。
ご説明は以上になります。どうもありがとうございました。
【大塚委員長】 どうもありがとうございました。すみません。随分ちょっと長くなってしまいましたが、それではご質問がございます方は名札を立てていただければと思います。これで締めてよろしいでしょうか。
では、渡辺委員のほうからお願いします。
【渡辺専門委員】 長野県の渡辺でございます。立ち入りに際しては、やっぱり立ち入りする行政職員の知識ですとか経験というのが非常に重要になってくると思いますが、そういう点……。
【大塚委員長】 誰に対しての質問か言ってください。
【渡辺専門委員】 すみません、両方の自治体にお聞きしたいのですが、その部分で何かそういうスキルアップの方法として、研修ですとか、そういうものを具体的にやっていらっしゃるかということと、あと、山形県の方にお聞きしたいんですけれども、レベル3の届出についてはかなり量が増えるということで、一定規模以上のという裾切りというのをしたらどうかというお話がありましたけれども、規模的にどの位のものを想定されているのか、具体的に考えているものがあったらお聞きしたいと思います。
【大塚委員長】 すみません、お二人の方はメモでもしておいていただくとありがたいんですけど。
はい、本橋委員。
【本橋専門委員】 熊本市の方にお願いというか、コメントですけれども、21ページなんですけれども、波形スレートのある工場、きれいに手ばらしで解体したんですけれども、湿潤のところで高圧水洗でやっていますよね。これ、古いスレートですと高圧水洗で逆に表面にあるアスベストが飛び散ることがあるので、できたら、模範事例というふうに書いてあるので、もうちょっと静かに湿潤といいますか、飛び散らないようにやってほしいと思います。
なぜそういうかというと、私、建築研究所という国交省の研究所にいたのですが、そこでこのような飛散性についていろいろ実験をやったんです。報告も出ています。高圧水洗、強いもので出すと、劣化していなければ大丈夫ですよ、新築品なら大丈夫ですけれども、劣化していると結構飛散するというので、これを模範事例で湿潤方法としてほしくない。これ15メガパスカルくらいの普通の高圧水洗だと思うんですけれども、劣化しているとこれでもアスベストが周辺に飛び散りますので、よろしくお願いします。何かコメントがあればお願いします。いや、そんなことはないという反論があればお願いします。(後日、湿潤方法について確認したところ高圧洗浄機にミストノズルを付けて水圧を下げた状態で湿潤化されていたことを確認。)
【大塚委員長】 では中村委員、お願いします。
【中村専門委員】 山形県の方にお聞きしたいんですけれども、7ページのところで、立入検査の件数の表がありまして、②と③、②のほうは27年から28年にかけて大幅に件数が変わっていますし、③のその他の立ち入りのほうも大分変動が大きいので、この理由というか、何か教えていただければと思います。
以上です。
【大塚委員長】 では外山委員、お願いします。
【外山専門委員】 両方の自治体の方にお聞きします。完了検査が重要で、いずれの自治体もやられていますが、今後、完了検査を全国的な制度にするということを前提にして、どのようにしたらうまくいくのかというところのご意見があったらお聞かせください。つまり、除去の業者なりの方が基準をつくってやられる、基準に沿ってやられるのか、それとも行政の立入検査を強化すべきなのか、あるいはまた別の新しい制度というか、そういう資格制度をつくって運用したらいいとか、そういうご意見がありましたらぜひお願いいたします。
【大塚委員長】 小坂委員、お願いいたします。よろしいですか。よろしいですね。
では笠井委員、お願いします。
【笠井専門委員】 日建連の笠井でございます。熊本市の方にお伺いしたいと思います。ご説明の資料の各ページに事前調査の信頼性を確保するために、調査できなかったところはこのようにするべきであるとか、あるいは建物の全景の写真をこう撮るべきだとか、また、完了検査については、こういう内容の記述があるといいということですが、お示しいただいた資料のようなものが、熊本県の中で、マニュアル化されているとか、または検査する際のチェックリストがあるとか、あるいは報告する際の様式あるいは書式のようなものがあるのか、さらには、それらがホームページに掲載されているのかをお教えください。自治体は、こういうところをポイントとして見るということを公開していただけると、我々、行政から検査等を受ける側としても、非常に参考になり、役立つ事例になるのではないかと思っています。よろしくお願いします。
【大塚委員長】 浅見委員、お願いいたします。
【浅見専門委員】 JATI協会の浅見です。山形県の方にご質問いたします。16ページのレベル3の小規模建築物ではみなしで対応ということですけれども、これは届出その他がないところで、やはり建リ法とかそういう他の関係の情報の交換がうまくいっているのかどうかということと、あとこれは大気とはちょっと関係ないところもあるんですが、みなしでやって、廃棄物があとどうなっているか、もしわかれば、どういう方向でいっているかわかれば、教えていただければと思います。
以上です。
【大塚委員長】 では、山形県の佐藤様のほうから、まずご回答をお願いします。
【山形県環境エネルギー部水大気環境課 佐藤氏】 それでは私の聞かれている部分ですけれども、研修の関係ですけれども、年に1回、大気関係ということで、アスベストに限ったわけではないですけれども、各総合支庁の担当者向けの研修会を開いております。毎年毎年テーマを変えておりますので、アスベストは何年かに一度という形になろうかと思いますけれども、各総合支庁のレベルを統一するということから、定期的には開いております。
あと、レベル3の規模を裾切りする、そのレベルをどのように考えているかということですけれども、具体的にどれぐらいということはないのですけれども、先行している県で条例だったり要綱などでレベル3の届出制を持っているところで、非常に件数が多くて対応がままならないというような話も聞きますので、そういった先行県の例を参考としつつ、工事の規模、あるいは工法、あるいは物、そういったもので少し、まず第一段階としてしばっていただけると、うちのような小さな県でも対応できるのかなというふうに思います。
続きまして、7ページの件数がちょっと差が大きいというようなお話だったんですけれども、これは平成26年に国のほうの通知がありまして、アスベストの関係も建リ法のパトロールで見るような形をとっているわけなんですけれども、一部の総合支庁は、平成26年から廃棄物関係に加えて、アスベストのほうもチェックしていたためです。平成28年度からは4総合支庁全てで……。
【大塚委員長】 すみません、回答も少し簡単にお願いします。
【山形県環境エネルギー部水大気環境課 佐藤氏】 はい。4総合支庁全てでアスベスト関係の確認を行っていることで数が多くなっています。その他の部分は状況を勘案しながらパトロールをしているということで、数が多くなったり少なくなったりしているということです。
それから、完了検査をどのようにすればいいのかということですけれども、具体的にどうすれば一番いいのかというのを明確には言えませんけれども、行政のほうで制度として行かなければならないというのを義務づけられれば、当然作業基準などの確認ということで、取り残しのないような確認とか、そういったチェック項目を整理して、対応できるのではないかというふうに思っています。業者のほうもそれなりの、法整備されれば対応できるんじゃないかと思います。
16ページのみなしの対応ということですけれども、16ページのところで、小さな解体現場を中心に、レベル3については分析しないでみなしで対応するというようなものが多いわけなんですけれども、特定粉じん排出等作業の届出が出ていて、レベル3もということであれば、廃棄物の処理状況も報告していただいていますので、そういった中で確認はできるんですけれども、届出が出ていないとなかなかそういう確認も、報告も求めませんので、難しいかなというふうに思っております。
以上です。
【大塚委員長】 では熊本市の八浪様、お願いします。
【熊本市環境局環境推進部環境政策課 八浪氏】 まず、職員のレベルアップということで、私たちは実際、地震の前は何もできていなかったんですけれども、実際に調査者協会様やアスベスト調査診断協会様にボランティアで地震の際にご協力をいただいております。やはり私、体験して、実地研修でないと、単なる講義では実際に身につかないなというのがございまして、自治体の方が専門家の方をお呼びするときに、問題のあるような物件をピックアップしておいて専門家をお呼びして、そういったところで大人数で職員が研修を受けるようなことがいいかと思います。私たちはもう実際に地震があったので、そういう研修をやっているわけではないんですけれども、そうやって実地研修のほうがいいのかなと思っております。
あと、完了検査のあり方ですけれども、私たちは、通報とか、養生に問題があるとか、あと同業者さんに話を聞きながら、ちょっと問題があるような業者さんの情報を聞き出してマークをしておりますけれども、なかなかそれをベースにというのも件数的にたくさんいける状況ではないので、やはり業者さんに完了確認の記録を、できるだけ信憑性のあるような形で、枠組みで記録を残していただくようなことを考えていかないといけないと思っております。
あと、今日、全景写真とか完了検査のやり方とか、本日のお話自体は、熊本市で実際できていることではございません。試案の段階になりますので、ちょっと実際にやっていないところで非常に申し訳ないんですけれども、こういった案として示させていただきました。
以上になります。
【大塚委員長】 ありがとうございました。マニュアル化しないかという話は、今の話でよろしいんですかね。
【熊本市環境局環境推進部環境政策課 八浪氏】 そうですね、今後検討していきたいと思っております。
【大塚委員長】 はい、どうもありがとうございます。
それではこれで本日のヒアリングは終了となります。4団体の皆様には、ご多忙の中お越しいただきまして、大変有益なお話をいただきまして、ありがとうございました。私ども、これを参考にして、今後審議を続けていきたいと思います。
では最後に議題の2、その他について、事務局から何かございますでしょうか。
【高澤大気環境課長】 特にございません。
【大塚委員長】 それでは、本日の予定された議題はこれで終了いたしましたので、進行を事務局にお返しします。連絡事項等があればお願いいたします。
【高澤大気環境課長】 本日は4団体の皆様におかれましては、ご多忙の中お越しいただきまして、現場の状況などに関して、大変有益なお話をいただきまして、ありがとうございました。改めてお礼を申し上げます。
また、委員の皆様におかれましても、活発なご議論をいただきましてありがとうございました。
今回のヒアリングでいただきましたご意見も踏まえまして、今後の石綿飛散防止のあり方、論点について、次回以降ご審議をいただく予定としております。
次回の小委員会につきましては、改めて日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日の議事録につきましては、各団体の発表者の方及び各委員にご確認をいただいた上で、環境省ホームページにて公開することとさせていただきます。
それでは、本日の小委員会は、これで終了したいと思います。本日は誠にありがとうございました。